個人事業主必見!青色申告承認申請書の書き方と提出のステップ

個人事業主必見!青色申告承認申請書の書き方と提出のステップ

青色申告承認申請書の書き方がわからず、提出に時間がかかっていませんか。実は青色申告承認申請書には提出期限があり、期限を過ぎると特別控除を受けられなくなる可能性があるのをご存知でしょうか。

この記事では青色申告承認申請書の書き方の基礎知識や、提出方法を詳しく解説します。

記事を読めば記入項目や書き方のポイントを理解できます。速やかに提出して、青色申告のメリットを最大限に活用しましょう。

青色申告承認申請書とは

青色申告承認申請書とは

青色申告承認申請書は、事業者が税務上で特別な優遇措置を受けるための重要な書類です。青色申告特別控除を受けるには、青色申告承認申請書を税務署に提出し、青色申告の承認を得る必要があります。

青色申告承認申請書は国税庁ホームページ・所得税の青色申告承認申請手続からダウンロード可能です。

青色申告のメリット・デメリット

青色申告は、個人事業主やフリーランスなどの所得が一定の範囲内に収まる場合に適用される確定申告の方法です。

青色申告のメリットは以下のとおりです。

  • 最大65万円の特別控除が受けられる
  • 経費が赤字を超えた場合、損失を翌年以降に繰り越して控除が可能である
  • 家族が給与受取人として認められ、節税につながる可能性がある

一方、青色申告のデメリットは以下のとおりです。

  • 毎年確定申告を行う必要がある
  • 青色申告申請の承認を受けたのち、5年間は白色申告に戻せなくなる
  • 会計ソフトや帳簿を使用して正確な簿記が求められるため、会計知識が必要になる

白色申告は確定申告の準備や手続きが簡単で、会計や簿記の知識が少なくても間違いなく申告できます。しかし青色申告のような特別控除がないため、節税効果が期待できません。

【項目別】青色申告承認申請書の書き方

【項目別】青色申告承認申請書の書き方

青色申告承認申請書の記入には正確さが求められます。漏れや誤りがないように注意しましょう。

所管の税務署

所管の税務署を記入する際のポイントは以下のとおりです。

  • 事業所の所在地に応じた税務署を特定する
  • 税務署の所管エリアを国税庁のホームページで確認する
  • 住所変更や事業所の移転がある場合は所管の税務署情報を確認する
  • 法人の場合は登記されている所在地の税務署が所管になる
  • 個人事業主は居住地の税務署が所管になる

提出日

青色申告承認申請書の提出日を記入します。提出方法別の記入方法は以下のとおりです。

  • 郵送の場合:郵送する日または郵便局窓口で発送依頼を行う日
  • 窓口の場合:税務署窓口に提出する日
  • e-Taxの場合:申請データを送信する日

事業者の基本情報

事業者の基本情報

事業者の基本情報を記入する際のポイントは以下のとおりです。

  • 事業者名または代表者名を記入
  • 自宅を住所地として使用する場合は「住所地」にチェック
  • 納税地を記入(法人の場合は本店所在地、個人事業者の場合は住民票の住所)
  • 電話番号を記入(携帯電話番号も可)
  • 職業を記入(エンジニア、ウェブライター、デザイナーなど具体的な名称)
  • 屋号を記入(なければ空欄で可)
  • 押印

事業の開始年度

青色申告の開始年度を記入します。

事業の名称および所在地

複数の店舗がある場合は、事業の名称と所在地を記入します。

記入例を以下に挙げます。

  • 居酒屋◯◯ 東京支店
  • ◯◯設備 大阪支店 など

所得の種類

所得の種類

該当する所得の種類にチェックを入れます。個人事業の所得区分は「事業所得」です。

おもな所得の種類は以下のとおりです。

  • 事業所得:個人事業主などが事業活動から得た収入
  • 不動産所得:賃貸物件などから得られる家賃収入
  • 山林所得:山林を伐採または立木のままで譲渡した売却益

青色申告の取り消しまたは取りやめの履歴

過去に青色申告承認の取り消し、または取りやめをしたことがある場合は年を記入し、「有」にチェックします。該当しない場合は「無」にチェックします。

本年1月16日以後新たに業務を開始した場合、その開始した年月日

青色申告承認申請書を提出する年の、1月16日以降に個人事業を開業する場合は「有」にチェックします。該当しない場合は空欄にします。

相続による事業の承継の有無

相続による事業の承継の有無

事業承継に該当する場合は「有」にチェック後、相続開始年月日と被相続人の名前を記入します。該当しない場合は「無」にチェックします。

その他参考事項

記帳する簿記の形式を選択します。青色申告承認申請書の場合は「複式簿記」にチェックします。

備付帳簿名

基本的に、以下8種類の帳簿を選択します。

  • 現金出納帳(現金の収入と支出を記録する帳簿)
  • 売掛帳(商品やサービスを販売した際に発生する売掛金を記録する帳簿)
  • 買掛帳(商品やサービスを購入した際に発生する買掛金を記録する帳簿)
  • 経費帳(事業を行うために要した経費を記録する帳簿)
  • 固定資産台帳(土地や建物、機械設備などの固定資産を記録する帳簿)
  • 預金出納帳(銀行に預けた預金を管理するための帳簿)
  • 総勘定元帳(仕訳帳に記録された取引を勘定科目ごとにまとめた帳簿)
  • 仕訳帳(すべての取引を借方と貸方の2つに記録する帳簿)

備付帳簿名は、会計ソフトを利用して記帳した場合、自動的に作成されます。おすすめの会計ソフトは以下のとおりです。

特記事項

特記事項

特記事項があれば記入します。

関与税理士

確定申告の代行依頼をする税理士がいる場合は、名前と連絡先を記入します。

青色申告承認申請書の提出方法

青色申告承認申請書の提出方法

青色申告承認申請書は、住民票に記載されている住所を所管している税務署に提出します。

郵送

郵送

郵送は直接税務署へ出向くことなく、青色申告承認申請書を提出できます。

青色申告承認申請書を郵送で提出する際は、以下のものが必要です。

  • 所得税の青色申告承認申請書(原本)
  • 所得税の青色申告承認申請書(控え)
  • 普通郵便や簡易書留で郵送する場合は封筒(長形3号でOK)
  • レターパックで郵送する場合はレターパックライト1枚
  • 84円切手を貼付した返信用封筒(長形3号でOK)1枚

青色申告承認申請書の郵送時に注意したいポイントを、以下にまとめました。

送付先は所管の税務署の住所または業務センターの住所を記載
発送用封筒には所管の税務署の住所を記載します。個人事業主の場合は住民票に記載されている住所の税務署、法人の場合は本店所在地の税務署を記入します。

内部事務がセンター化している税務署へ発送する場合の発送先は、業務センターの住所です。業務センターの一覧リストは書面の申告書等の郵送による提出先となる業務センターの所在地で確認できます。
返信用封筒には返信用切手を貼付し自身の住所を記載
返信用封筒には返信用切手(84円)を添付し、自身の住所を記入します。青色申告承認申請書(原本、控え)と返信用封筒を同封し、所管の税務署へ郵送しましょう。

発送から数日~1週間以内には青色申告承認申請書の控えが、返信用封筒で郵送されます。控えには税務署の受領印が押印されています。発送から1週間以上経過しても控えが返送されない場合は、税務署へ問い合わせましょう。
青色申告承認申請書はゆうパックやゆうメールでの発送が不可
青色申告承認申請書は信書に当たり、第一種郵便物もしくは信書便物として扱われます。ゆうパックやゆうメールでは発送できないため注意が必要です。
税務署の受理日付は「消印の日付」
税務署の受理日付は消印の日付が提出日です。郵便局窓口で受付した場合は当日消印ですが、ポスト投函の場合は投函時間帯により注意が必要です。

所管の税務署の所在地は国税庁のホームページで確認できます。

窓口

所管の税務署の窓口で青色申告承認申請書を提出すると、万一記入事項に不備が見つかった際、その場で訂正できます。

窓口で提出する際に注意するポイントを以下にまとめました。

窓口受付時間は開庁時間内
窓口受付時間は、開庁時間内に限られます。開庁時間は月曜日から金曜日(祝日、年末年始を除く)の午前8時30分から午後5時までです。土日祝日は閉庁しています。
提出する窓口は所管の税務署
青色申告承認申請書を提出できるのは、所属する地域にある所管の税務署です。個人事業主の場合は住民票に記載されている住所に、法人の場合は会社の本店所在地にある所管の税務署に提出します。
毎年の確定申告時期は混雑する
毎年の確定申告時期(2月15日~3月15日)は税務署窓口が混雑します。混雑緩和のため、3月は入場整理券が配布されます。確定申告時期に提出する場合は注意が必要です。

e-Tax

青色申告承認申請書はe-Taxで提出が可能で、税務署窓口へ出向くことなく手続きできます。パソコンまたはスマートフォンを使用して作成します。時間や場所を選ばず、手書きの手間や書き損じがありません。

e-Taxで青色申告承認申請書を送信するメリットは以下のとおりです。

  • 場所を選ばず申請できる
  • 24時間いつでも提出できる
  • その場で提出(送信)結果を確認できる

e-Taxを利用した青色申告承認申請書の提出手順を以下にまとめました。

  1. 利用者識別番号を取得する
  2. 電子証明書を取得する
  3. e-Taxソフトをインストールする
  4. 「所得税」を追加する
  5. 作成したい書類を選択する
  6. 必要な項目を入力する
  7. 電子署名を行い送信する

e-Taxで確定申告(青色申告)を行う方法は「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の2種類です。

マイナンバーカード方式
マイナンバーカードを利用して確定申告を行う場合、税務署長への届出やe-Tax用のID・パスワード入力の必要がありません。申告はマイナンバーカードを読み込むカードリーダーの用意、またはスマホからe-Taxアプリをインストールして行います。
ID・パスワード方式
ID・パスワードを利用して確定申告を行う場合、税務署の職員による本人確認が必要です。確認は税務署に出向いて対面で行われ、申告時にマイナンバーカードは不要です。

よくある質問

よくある質問

青色申告承認申請書の、よくある質問をまとめました。

青色申告承認申請書はいつまでに提出すればいい?

青色申告承認申請書の提出期限は、おもに以下の2種類があります。

新規に事業を開始する場合
開業届を提出した日から2ヶ月以内に提出します。開業届は青色申告承認申請書と同時提出が可能です。
翌年分から青色申告に変更する場合
青色申告予定年の3月15日までに提出します。

青色申告承認申請書の提出期限が過ぎたらどうなる?

青色申告承認申請書の提出期限が過ぎた場合、青色申告控除の適用が受けられません。翌年1月1日からその年の12月31日までの所得は、白色申告で申告します。白色申告は青色申告控除が適用されず、損失の繰り越しもできませんので注意しましょう。

病気や災害などのために提出期限内に申請できなかった場合は、救済措置を受けられる可能性があります。該当する方は税務署や税理士への相談をおすすめします。

青色申告承認申請書は毎年提出する必要がある?

青色申告承認申請書は初回のみ提出すれば、毎年提出する必要はありません。一度提出して青色申告が承認されると、翌年以降も継続して青色申告できます。

開業届を提出しないと青色申告できない?

開業届を提出しないと青色申告できない?

開業届は、個人事業主として事業の開始を税務署に知らせるための書類です。開業届が未提出でも罰則はなく、事業や所得税の確定申告を行うこと自体は可能です。

開業届は事業をしている証明になり、社会的な信用を得やすくなる可能性があります。開業届については国税庁のホームページに詳しく記載されています。

開業届の提出期限は原則として開業日から1か月以内です。青色申告承認申請書と一緒に提出が可能なので、未提出の場合はまとめて記入してしまうと提出忘れがありません。

まとめ

まとめ

青色申告承認申請書は、節税メリットを受けるために必要な書類です。青色申告承認申請書を税務署に提出すると、所得控除の適用や赤字の繰り越しなど、青色申告のメリットを受けられます。

青色申告承認申請書の書き方のポイントは以下のとおりです。

  • 所管税務署や提出日、事業者情報、事業開始年月日の記入またはチェック
  • 事業の所在地や所得の種類、青色申告の承認有無の記入またはチェック
  • 事業承継や簿記の形式、備付帳簿名、特記事項、関与税理士情報の記入またはチェック

青色申告承認申請書の提出方法は郵送や税務署窓口、e-Taxがあり、自分に合った方法を選択できます。税務上の優遇を得るため、青色申告承認申請書の提出は迅速かつ慎重に進めましょう。