副業を検討している方の中には、開業届の提出に必要な手続きや書類の準備に戸惑う方も多いです。本記事では、開業届に必要なものや正しい書き方、提出方法を詳しく解説します。開業届を提出した後の手続きも解説するため必見です。記事を読めば、開業届の提出に関する不安が解消し、スムーズに副業が開始できます。
開業届に必要なものに関する基礎知識
開業届は、個人事業主が事業開始から1か月以内に所轄の税務署に提出しなければなりません。事業内容によっては許認可証の写しも必要です。開業届は税務署や国税庁のサイトで入手できます。開業届に関する基礎知識を解説します。
開業届の提出の必要性
開業届の提出は、税務署に事業開始を正式に届け出るために重要な手続きです。開業届を提出する理由は、以下のとおりです。
- 税金の適切な納付のため
- 青色申告の適用のため
- 事業の信頼性確立のため
- 補助金や融資の申請のため
開業届を提出しないと、税務上の問題が発生する可能性があります。取引先との関係構築や社会保険加入にも影響を与えるため、注意が必要です。開業届の提出は、事業主としての責任を果たし、円滑に事業を運営するための手続きです。法令を遵守する姿勢を示すと、事業の信頼性も高まります。
開業届を提出するタイミング
開業届を提出するタイミングは、事業開始前または事業開始後1か月以内です。おすすめのタイミングは、以下を参考にしてください。
- 事業計画が具体化した段階
- 設備投資や仕入れを始める前
- 開業資金の借入時
- 事業用の口座開設時
- 従業員を雇用する前
- 取引先との契約前
開業届は準備期間中でも提出できるため、営業許可申請時などに合わせて提出するのも良い方法です。早めに提出すると、スムーズに事業を開始できます。
開業届の提出に必要なもの
開業届の提出に関する以下の3点を解説します。
- 基本的な提出書類
- 追加で必要になる可能性がある書類
- 書類の取得方法
基本的な提出書類
開業届の提出に必要な基本的な書類は、以下のとおりです。
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 本人確認書類
- 事業所の所在地を確認できる書類
- マイナンバー確認書類
本人確認書類は、運転免許証やマイナンバーカードなどが使用できます。印鑑は認印で構いません。事業所の所在地確認には賃貸契約書などが必要です。青色申告を選択する場合は、青色申告承認申請書も必要です。従業員を雇用する予定がある場合は、給与支払事務所等の開設届出書も準備します。
固定資産を所有する場合は、所得税の減価償却資産の償却方法の届出書も用意しなければなりません。書類の準備は早めに始めるのがおすすめです。不明な点がある場合は、最寄りの税務署に相談しましょう。
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追加で必要になる可能性がある書類
開業届を提出する際に追加で必要になる可能性がある書類は、開業する業種や事業形態によって異なります。基本的な提出書類と合わせて、以下の書類が必要になる場合があります。
- 青色申告承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 所得税の棚卸資産の評価方法の届出書
- 減価償却資産の償却方法の届出書
- 消費税課税事業者選択届出書
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 事業開始等申告書(事業税・住民税)
- 国民健康保険・国民年金の加入手続き書類
- 許認可申請書(業種によって必要な場合)
不明な点がある場合は、税務署や行政の窓口に相談しましょう。
書類の取得方法
開業届に必要な書類を取得する方法は、税務署や市区町村役場、インターネットです。専門家に依頼する方法もあります。インターネットを使えば、税務署や市区町村役場に行かなくても、自宅で簡単に入手できます。国税庁のウェブサイトやe-Taxのウェブサイトから必要な書類をダウンロードできて便利です。
税理士や行政書士に頼むと、必要な書類を代わりに取得してくれます。事業許可証や資格証明書は関連機関から取得します。賃貸契約書のコピーは不動産会社や家主から入手しましょう。
開業届の正しい書き方
開業届の正しい書類のフォーマットと、項目別の書き方を解説します。
書類のフォーマット
開業届の書類フォーマットは、正確な記入が重要です。基本的なルールを守ると、スムーズな手続きができます。用紙サイズはA4を使用します。片面印刷で、黒のボールペンで記入してください。消せるペンの使用は避けます。記入時の注意点は、以下のとおりです。
- 訂正する場合は二重線
- 氏名欄に押印
- 数字は算用数字で記入
- 年号は西暦で記入
訂正する場合は二重線を引き、訂正印を押します。住所は省略せずに記入しましょう。フリガナはすべてカタカナで記入します。空欄がある場合は斜線を引くと、後から記入されるのを防げます。記入方法に不安がある場合は、税務署に相談するのがおすすめです。
項目別の書き方
開業届の記入項目は以下のとおりです。
- 氏名・住所・屋号
- 事業開始日
- 事業内容
- 事業区分
- 青色申告の有無
- 主たる事業の種類
- 資産の種類と金額
- 従業員数
- 前職の有無と内容
- 事業専従者の情報
住所は番地まで漏れなく書きます。事業開始日は実際に事業を始めた日、または始める予定の日を記入します。事業内容は具体的かつ簡潔に記入しましょう。どのような商品やサービスを扱うのかを、明確に書くのがおすすめです。個人事業主か法人かも選択します。青色申告を行う場合は、別途申請が必要です。
主たる事業の項目は、事業が複数ある場合は最も売上が多いものを選びます。事業用の資産がある場合は漏れがないように記入します。従業員数は、パートやアルバイトも含めて正確に記入しましょう。前職の有無の項目では、直近の職歴を簡潔に書きます。
事業専従者の情報は、家族従業員がいる場合に記入が必要です。最後に自署と押印を忘れずに行います。記入漏れがないか再度確認しましょう。
開業届の提出方法
開業届の提出方法は、以下の3つです。
- 税務署への直接提出
- 郵送での提出
- オンラインでの提出(e-Tax)
複数の事業を行う場合は、それぞれ提出が必要です。e-Tax利用の際は事前準備が必要なため、早めに手続きを始めましょう。
税務署への直接提出
税務署に直接提出する方法は、確実に書類を提出でき、不明点をすぐに解決できるメリットがあります。窓口で書類を提出すると、即座に確認を受けられます。提出後は、控えを忘れずに受け取り保管してください。
税務署では、混雑時に待ち時間が発生する可能性があるため注意が必要です。受付時間を確認し、時間に余裕を持って訪問しましょう。
郵送での提出
開業届を郵送で提出する方法は、税務署に行く時間がない方におすすめです。郵送の手順は以下のとおりです。
- 開業届の記入済み書類を封筒に入れる
- 返信用封筒を同封する
- 管轄の税務署の住所を確認して封筒に記入する
- 郵便局で特定記録郵便または簡易書留で送付する
郵送で提出する際は、控えの取り扱いに注意します。提出から1〜2週間程度で控えが返送されます。控えは開業の証明書として大切に保管しましょう。郵送での提出は、直接提出に比べて時間がかかるため、余裕を持って手続きを進めるのがおすすめです。
オンラインでの提出(e-Tax)
e-Taxを使ったオンラインでの開業届の提出は、便利で効率的な方法です。自宅やオフィスから24時間いつでも提出できるので、忙しい方にも適しています。e-Taxを利用するには、e-Taxソフトウェアのダウンロードとインストールが必要です。電子証明書も取得しましょう。
電子証明書には、マイナンバーカードか住民基本台帳カードが必要です。準備が整ったら、以下の手順で開業届を提出します。
- 利用者識別番号の登録
- 必要事項の入力
- 添付書類の電子化
- 電子署名の付与
- データの送信
提出が完了すると受付結果の確認ができ、提出完了のメールが届きます。提出した情報は、大切に保管することが重要です。e-Taxを使えば、税務署に出向く必要がないため、時間と手間を節約できます。e-Taxを初めて利用する場合は、準備に時間がかかる可能性があります。余裕を持って手続きを始めると安心です。
開業届を提出した後の手続き
開業届提出後の手続きは、事業を円滑に進めるために重要です。開業届を提出した後の手続きについて解説します。
控えの保管
開業届の控えは安全な場所に保管します。控えを保管する理由は以下のとおりです。
- 税務調査の際に必要となるため
- 事業実績の証明に使えるため
- 将来的な参照のため
おすすめの保管方法は、以下のとおりです。
- 紙の控えを専用ファイルに保管
- コピーを別の場所に保管
- 電子データとしてスキャン保存
控えの保管場所は忘れないように、メモしておきましょう。紛失しないよう細心の注意を払います。
開業後に必要な手続き
開業後に必要な手続きを適切に行うと、スムーズに事業を運営できます。主な手続きは以下のとおりです。
- 青色申告承認申請書の提出
- 給与支払事務所等の開設届出書の提出
- 源泉所得税の納付
- 従業員の社会保険・労働保険の加入手続き
- 事業所得の確定申告
- 消費税の申告・納付
以上の手続きは、法律で定められているものが多いため、必ず行います。手続きの種類や期限は業種や事業規模によって異なるため、注意が必要です。以下の実務的な準備も重要です。
- 帳簿の記帳と保存
- 各種許認可の取得
- 事業用銀行口座の開設
- 取引先との契約書の作成
- 事業計画書の作成と定期的な見直し
以上の手続きや準備を適切に行うと、トラブルを防げます。不安な点がある場合は、税理士や行政書士などに相談しましょう。
開業届に必要なものに関するよくある質問
開業届に必要なものに関するよくある質問をまとめました。開業届の提出を検討している方は参考にしてください。
間違って記入してしまったときの訂正方法は?
開業届の記入ミスを訂正する方法は、訂正箇所に二重線を引き、間違った部分を明確にします。正しい内容を上部や余白にはっきりと記入し、訂正印を押して修正を確認します。修正液や修正テープは使用しないでください。修正液や修正テープを使うと、書類の信頼性が損なわれます。
大きな間違いがある場合は、書類を再作成するのが最善の方法です。オンラインで提出した場合は、再提出が必要になる場合もあります。不安な点がある場合は、税務署に相談するのがおすすめです。
提出後に情報が変わったときはどうすればいい?
開業届の提出後に情報が変わったときは、速やかに変更届を提出します。変更内容によっては、新たな届出が必要になる場合もあるため、注意が必要です。開業届の提出後に情報が変わったときは、税務署に連絡して指示を仰ぎます。住所変更の場合は、転居届も提出します。
事業内容の変更は速やかに報告しましょう。屋号変更の場合は、変更届と併せて屋号変更届を提出します。開業届の内容に変更が生じた場合は、迅速な対応をすると、税務上のトラブルを回避可能です。
開業届を提出しないとどうなる?
開業届を提出しないと、税務署から指摘や指導を受けるリスクが高まります。開業届が未提出だと、事業者としての義務を果たしていないことになるためです。開業届を提出しないと、以下のデメリットが生じます。
- 青色申告の承認を受けられない
- 消費税の課税事業者選択届出書を提出できない
- 各種控除や特例が受けられない
開業届を提出していないと、事業実態が不明確になり、税務調査の対象になる可能性が高まります。法人化する際も、問題が生じやすいです。事業開始日が不明確になり、税務上の不利益を被る可能性もあります。銀行口座開設や融資申し込みの際に、支障が出る場合もあります。
支障が出る理由は、銀行口座開設や融資申し込みの際の、事業の正当性を証明する書類が不足するためです。取引先との信頼関係に影響を与える可能性もあります。正式な手続きを踏んでいない事業者として見られるためです。開業届を提出しないと多くのリスクを抱えるため、適切な時期に正しく提出する必要があります。
» 副業で確定申告が必要になる基準、確定申告の種類とやり方を解説!
まとめ
開業届の提出は、個人事業主として事業を始める際に重要な手続きです。開業届の提出には、基本的な書類と追加書類が必要です。開業届の提出後は、控えの保管や追加手続きを忘れないよう行います。間違いや情報変更時の対応方法も把握しましょう。開業届を提出しないと、罰則のリスクがあるので注意が必要です。
正しい記入方法を守り、税務署への直接提出や郵送、e-Taxでの提出のいずれかの方法で手続きを行ってください。開業届に関する知識を身に付けると、スムーズな開業手続きが可能です。